今年の1月、尼崎の
アートスペースIPPO(イッポ)さんで行われた脱原発に向けたアクションとしての太陽光パネル設置費用のためのチャリティ展に参加させてもらいました。
そこで、前回・今回のチャリティ展でご一緒させてもらった作家の方から、お子さん用のTシャツのオーダーを頂きました。半袖がご希望だったので、納品がこんな時期になってしまいました…
お子さんが魚が好きだというので、一つは魚をモチーフに、もう一つはお任せでとのことで。
魚、さかな、サカナ…と我が子の図鑑をまたもや拝借してパラパラパラとめくると、よし、コレ!ということで
マンボウくん。
独特のフォルムと、そののんびりとした雰囲気がなんともいえません。
そのマンボウの生態はまだ謎が多いそうです、確かに体も普通の魚が半分で切れたようなところに舵びれが付いている…謎めいてます
目は初めは白のボタンで表したのですが、なんだか目だけがやけにリアル過ぎたので、ちょっと間抜けそうに見える黒の*こんな形のボタンにしました
マンボウTがアップリケ(?)だったので、もう一つはイラストでいこうと思い、モチーフを考える。
Tシャツのグレーに私の好きな組み合わせの黄色にしよう。黄色か…バナナ?グレープフルーツ?レモン…よし、レモンにしよ!ということで
胸に5つのレモンとそれぞれに
「1,2,3,4,go!」なんてオモシロくも何ともない字を添えてみました
背中はこんなんです
ビールジャナイヨ、レモンジュースアルヨ。
その下には
"If life gives you a lemon, make lemonade."(人生がレモンをくれたらレモネードを作れ)
という英語の諺を。
「苦境にあってもそれを逆転させて前向きに生きなさい」といった意味のようです。
グレー×黄色というイメージから始まりましたが仕上がりには自己満足度120%です
実は、今回このオーダーTシャツを着る息子さんは、自閉症で重度知的障害を持つお子さん。
自分の思いが伝わらなかったり、自分のつもりと違ってしまったり、見通しが持てない時などにパニックになって、服を破ってしまうことがあるそうです。
そのお母さんがチャリティ展でツルヤのTシャツを見て「こんなふうにしてもいいのかー!」と感じてくれたそうです。
今までは、また破くかもしれないから…というのがどこかにあった上で息子さんの服を選んでいたけれど、「障害があってもオシャレしていいやん、ジャージばっかりでなくても!」という想いが強くなったと話してくれました。
お母さんもリネンなどを使って洋服を作る作家さんなので、この夏はツルヤのTシャツと合わせて息子さんにリネンのパンツを作ってあげるそうです。
先日納品を終えると、さっそくTシャツを着てピースサインをした本当に嬉しそうな息子さんの写真が贈られてきて思わず胸がいっぱいになりました。
しかもポケットの中にこっそり描いたレモンちゃんの存在にも気づいてくれて「明日はレモンちゃん着るわ!」と気に入ってくれたようです。
オーダー頂いて本当にありがとうございました
そもそも、このご縁のきっかけとなったアートスペースIPPOは、知的な障害をもつ人たちが、アートを通してのびやかに集える場をめざして、平成17年12月1日にNPO法人「IPPOの会」を発足させたところが始まりです。
今回オーダー頂いたお母さんも、子どもが気兼ねなく絵を描いたりする場所が欲しいと、始まりに関わられた一人です。
最近、アールブリュットやアウトサイダーアートと言った言葉(「主流から外れた芸術活動の総称。美術に関する教育を受けていない独学者や知的障害者などが、既成概念にとらわれず自由に表現するもの」(大辞泉))で注目されることも増えてきたと思うのですが、一般的にはいろんな意味でまだ認知されていないと思うのです。
私も今まで知的障害者の作業所の作品の展示を何度か見ましたが、その純粋さを前にしたら言葉を失います。
こうしたら売れる、こっちの方が喜ばれそう、こうしたら解りやすい…そんなこと考えずに、ただただ感じたもの、自分の心の中にあるもの、心から生まれたものを表現している、そんな圧倒的なパワーを感じるのです。
私自身、知的障害のことやアウトサイダーアートのことなどに関しては無知といってもいいほどの知識しかありません。
でも、社会の中でそんな活動をしている人たちがいるということは一人でも多くの人に知ってもらいたいと思います。
よければ、
IPPO誕生のきっかけを知ってもらえたらと思います。